LMガイド(リニアモーションガイド)は設備でもっともよく使われる直線ガイドです。これをベースプレートに取り付けるときはレールに設けてあるボルト取付穴を使いますが、当然0.1mm単位のガタがあります。

しかしほとんどの場合LMガイドが動作の基準になるので、ガタを気にせずいい加減に取り付けて良い訳はありません。何らかの取付基準がほしいところです。そのためよく取られる設計手法は、下図のように位置決めピンを設ける方法です。1本のレールに対して2個の位置決めピンを設け、それにレールをあてがってボルト固定します。
ちなみに位置決めピンの穴は現合ではなく、設計図に基づいて正確な位置に開けます。現在の機械加工精度なら±0.02mmレベルが期待できます。

仮に位置決めピン等を使わず、ボルト取付穴のガタの範囲で仕上げ作業者が現合で平行/直角に取り付けようとすると、かなりの熟練が必要になります。しかもその精度は、頑張っても±0.05mm程度と言われています。LMガイドの取り付け位置が重要なら、上記のような設計的配慮は必須です。
繰り返しになりますが、このような処置を施しておくと、仕上げ作業者はLMガイドを容易に取り付けることができます。つまり仕上げ作業者の工数短縮に繋がります。さらに将来万が一LMガイドが破損しても、取り付け位置の再現が容易です。
ちなみにLMガイドを2本用いる場合、位置決めピンは片方のレールのみに設けます。2本のLMガイドの平行は0.001mm単位が要求されるので、機械加工でピン穴を設けるとして精度不足です。そのため、まずは片方のLMガイドを位置決めピンに従って取り付け、もう一方のLMガイドは、動作範囲で滑らかにストロークするよう、その位置を決めます。この作業は仕上げ作業者の熟練に頼る部分です。
