今回は機械設計の話です。
2つの部品を組み合わせる際、それぞれどれぐらいの公差にするかを設計者は決めなければなりません。
その際、公差を具体的な数値のみで指示する場合と、はめあい公差で指示する場合の2種類の方法があります。
例えば穴と軸があり、具体的な数値のみで指示する場合、穴径Φ10(+0.03/0)、軸径Φ10(0/-0.03)というふうに指示します。ちなみにカッコ内の数値の単位はmmです。
一方はめあい公差で指示する場合、穴径Φ10H7、軸径Φ10h7というふうに指示します。このH7とかh7がはめあい公差と呼ばれるものです。ちなみにアルファベットの大文字は穴に適用し、小文字は軸に適用します。数字は公差幅を表し、小さい数字ほど公差幅が厳しくなります。ただし具体的な寸法公差は、呼び寸法(先述の例でいえばΦ10のこと)によって異なりますが、JISで規定されています。
穴の許容差(ミスミのHPより)
軸の許容差(ミスミのHPより)
どちらの指示方法も結果として具体的な寸法公差が指示されるので、部品製作上はどちらでもよいのですが、これをはめあい公差で指示すると、設計者の意図が伝わりやすいです。
例えばH7/h7とすると、「一応着脱可能だが一度組み合わせたらおそらく二度と外すことはなく、かつ精密に位置を決めたい」という意図がわかります。またH7/g6とすると、「精密に摺動させたい」という意図がわかります。機械設計をされる方には、このはめあい公差の使用を勧めたいです。
ちなみに私がもっとも多用するのはH8/h8公差です。比較的頻繁に着脱し、それでいてそこそこ正確な位置決めが可能な公差です。
どれぐらいの公差を使うとどんな感じのはめあいになるかは、実際に出来上がってみたものを触ってみて、身体で覚えてください。