聞き慣れないかもしれませんが「経済流速」ということばがあります。
一般的に水や空気のような流体は、ある流速を超えると急激に管内の圧力損失が上がります。そのため流速を一定以下にする必要があります。その流速を経済流速と呼びます。その流速は流体の種類によって異なり、水の場合2m/s、空気の場合20m/sが経済流速と言われています。
また流速は、配管の入口と出口の圧力差が一定の場合、配管径を大きくすれば流速が下がり、小さくすれば流速は上がります。
流体の流速が上記の経済流速以下なら圧力損失の心配をする必要はありませんが、今度は配管コストが上がってしまうので、適切な配管径を選ぶ必要があります。これが「経済」ということばの所以です。
この経済流速を意識すると適切な配管径の計算ができます。例えばピストン径40mmのエアシリンダを300mm/sで前進させたい場合、流量はピストン断面積(40×40×3.14÷4)mm2×動作速度300mm/s=376991mm3/s
これを経済流速で割ると、そのときの配管断面積が求まります。
配管断面積=流量376991mm3/s÷経済流速20m/s(=20000mm/s)=18.8mm2
これを配管径に換算すると4.9mm。つまり内径5mm以上の配管を選べば想定した速度でエアシリンダが動かせます。
このように経済流速に基づいて配管径が計算してあれば、エアシリンダの動作速度が保証されます。
また、真空ポンプの配管径の計算も同様です。真空ポンプの仕様には必ず「排気量」というパラメータがあります。これが上記の流量にあたるので、ここから配管径が計算できます。この計算を怠って細い真空ホースを選定してしまうと、想定よりも真空引きにかかる時間が長くなってしまいます。