なぜか自動化の教科書にほとんど記述されていませんが、複数の工程を自動化した「自動化ライン」を構築すると、省人以外に、品質面での副次的な効果が出てきます。具体的には、工程飛び防止や二重加工防止、全数検査、不良品の流出防止といった効果です。
これに気づいたのは、デンソー在職中に「半自動化ライン」を担当したときでした。ふだんの仕事のほとんどはいわゆる「自動化ライン」の構築でしたが、そのときはめずらしく半自動化ラインを担当しました。
その案件に着手してメカ的な構想をある程度済ませ、全体を俯瞰したときはたと気づきました。工程飛びや二重加工の防止がすっぽり抜けていました。自動化ラインなら記憶送りやパレットのIDを使えばそれほど難しい話ではありませんが、工程間のワークの移動を作業者が行う半自動化ラインではそれらの防止がとたんに難しくなります。
結局設備だけでは完璧な防止ができないという結論に達し、社内の作業改善の専門家に入ってもらって仕掛前のワーク置き場、仕掛後のワーク置き場、不良品置き場をはじめから定め、そのための設備間のスペースを設けることで対応しました。それでも作業者の作業に「絶対」はないので、品質保証レベルは自動化ラインに及びません。このときに自動化の副次的効果を認識しました。
もちろん半自動化に比べれば自動化の方が費用がかかりますが、自動化には上記のような効果があることも大事なポイントになります。