先日若いエンジニアの方から、「スキルは広い方が良いのか、深い方が良いのか」という質問をいただきました。
もちろん理想形は「広くて深い」ですが、どちらが先かといえば、私の回答は「深める方が先」です。
ちなみにスキルのレベルを私なりに表現すると、
1 知識がある
2 易しい仕事ができる
3 難しい仕事ができる
4 教えることができる
です。言うまでもなく4が一番深いレベルです。
エンジニアに限らず、すべての職種に必要なスキルの種類は無限にありますが、多くのスキルを持っているとしても、それがいずれもレベル1とか2では意外と実務で役に立ちません。下手をすると、的はずれな評論家で終わってしまいます。
一方、スキルの幅は広くなくても、ひとつのスキルのレベルが3とか4であると、活躍の場があります。頼りになる専門家ということです。そしてひとつのスキルがレベル4に到達すると、他のスキルのレベルを上げる方法が身につき、ついには「広くて深い」が実現します。
さらにいえば、ひとつでもレベル4に到達していると、他のエンジニアのスキルの深さが、少し話をしたり仕事をしたりするだけで、容易に想像できます。いずれのレベルも低い人は、残念ながらこれが分かりません。
以上が、「深める方が先」と答える理由です。
ちなみに冒頭の若いエンジニアの悩みはもうひとつあって、「今の仕事は大学で学んだことが生かされない。どうすべきか?いっそ転職すべきか?」でした。
よくよく聞いてみると、今与えられている仕事はたしかに大学で学んだことがあまり役に立ちそうにありませんが、その仕事にまっすぐ取り組めば、別のスキルが身につきそうです。しかも大学で学んだことのスキルよりレベルが高くなる可能性があるので、それはそれで良いのではないか、というアドバイスをさせていただきました。
本人からすると回り道をしている感覚があるかもしれませんが、スキルの広さと深さの最終形にたどり着くためのルートはひとつではありません。逆に言えば人によってルートは千差万別です。どんな経験からも何らかのスキルを得るぞという貪欲さがあれば、気がついたら、広くて深いエンジニアになっているはずです。