設計の構想段階ではポンチ絵がよく使われます。これは、これから設計製作しようとしている設備や加工ユニットのイメージのすり合わせに使います。
元々ポンチ絵は手描きの立体図のことを指し、実際私が新卒で会社に入った頃、先輩たちはもっぱら手描きでポンチ絵を描いていました。そしてその美しさ、素晴らしさに度肝を抜かれました。頭の中に立体イメージが明確にあり、それを描き起こしていたと思われます。「訓練すればお前もできるようになる」と言われましたが、私の場合、努力が足らなかったのか、センスが足らなかったのか、いずれにしても後輩をうならせる域に達することはありませんでした。
しかしその後、パソコンでPower Point(いわゆるパワポ、以下「パワポ」)を使うようになってからは、もっぱらパワポでポンチ絵を描くようになりました。ただし立体図ではなく2D表現です。これでも工夫次第で十分伝わるポンチ絵が描けます。逆に、伝えたいものによっては、立体図ではなく2D表現の方がわかり易い場合もあります。
また2D表現とはいっても、パワポのグラディエーション機能を使うと、円筒部品はちゃんとそれっぽく見えます。
下の図は上下のプレートを支柱で支えている構造を表していますが、支柱がソリッドカラーなので、円柱なのか板材なのかよくわかりません。

しかし下図のように支柱にグラディエーションを施すと、円筒の支柱であることが直感的に分かります。

ちなみにグラディエーションを施すのは下図のサブメニューになります。

他にもパワポのいろいろな機能を使うと、意外と豊かな表現が可能になります。
それからこれは大事なポイントですが、パワポで描いたポンチ絵は2次利用(流用)が容易です。手描きのポンチ絵はとても美しいのですが、実はこの2次利用がとてもしづらいです。特に美しすぎるポンチ絵は手を加えるのがためらわれます(笑)。
そういうわけで、ポンチ絵を描くツールとして、私はパワポを強くお勧めします。