私の経験則ですが、悲惨な職場災害は得てして複数のエラーが原因となって発生します。
例えば障がいが残るような職場災害の原因を調査してみると、設備停止時の復元作業がマニュアル通りに行われていなかったと同時に、安全装置が実はずいぶん以前から壊れていて点検もされていなかったそうです。
せめてどちらかひとつが正常であればひどいことにならなかったはずですが、大きな職場災害はこういうエラー(異常)が複数重なることで発生します。
「まさか安全装置が壊れているとは思わなかった」から横着な作業をしてしまった。
「まさか安全装置が壊れるとは思わなかった」から点検を怠った。
作業をする部門と点検を行う部門が異なっていると、お互いがお互いを責めたりすることもありますが、無論同罪です。
一見何もしていなくても職場の安全は保たれているような錯覚を起こしますが、実は微妙なバランスの上に成り立っています。愚直な行動、上記の例で言えば、遠回りでも安全な復元作業と定期点検を繰り返すことが職場安全を保つ秘訣です。
これは交通安全にもいえます。
信号のない交差点の、出会い頭の事故は、一方のスピードの出しすぎと、もう一方の一旦停止確認不足が原因です。
せめて片方があんなにスピードを出していなかったなら、あるいは、せめて一旦停止をきちんとしていたら起こらなかった事故です。
職場災害も交通事故も、絶対にゼロにすることは不可能ですが、ゼロに近づけることは可能です。そのためには少しでもリスクを下げるための行動を取ることが大事だと、会社生活を通じて学びました。