立派なテスト機を作ってはいけない理由

新しく作る生産ラインに新規工程や新規工法を入れる場合、「テスト機を作ろう」という話がしばしば持ち上がります。新しいことにチャレンジするのはよいことですし、事前検討を行うのもよいことですが、注意点があります。それは、

「このテスト機で何をテストするのか?」

を明確にすることです。これがはっきりしていないとテスト機の仕様が決まらず、往々にして、何でもできる立派なテスト機をつくってしまいます。「テスト完了後は少量生産設備として転用したい」と欲張ると、さらに立派なテスト機になります。

立派なテスト機のどこがいけないかというと、次のような理由が挙げられます。

  • 納期がかかる ⇒ PDCAが回らない
  • コストがかかる ⇒ 予算オーバー
  • 仕事が増える ⇒ 担当者の負荷オーバー

では新規工程や新規工法の事前検討を行う場合どのようにしたらよいか?ですが、検討のフェーズに応じてやり方が変わります。

検討フェーズテストの目的テスト方法
1 味見この方法で正しいのか
大雑把な見極め
ありあわせの道具、レンタル機器、
治具を使って確認
2 加工条件確認良品が保証できる条件の見極め必要な計測器を装備したテストベンチで確認
3 作業性確認作業者によるワークの投入排出や
消耗部品交換等の作業性確認
ダンボールシミュレーション、
3D-CAD等で確認

このようにしてみてみると、立派なテスト機はほぼ不要であることがわかります。テスト機を作るとやってる感は出ますが、後々振り返ると「あそこまで立派なものは要らなかったね」がテスト機あるあるです。

限られた時間の中で答えを出すためには素早くPDCAを回さなければなりません。実際のところ、悠長に立派なテスト機を作っている時間はありません。何を確認したいのかをしっかり検討し、シンプルなテストベンチで検討していくのが賢いやり方です。この検討がしっかり出来ていれば、あとは設備メーカーに任せることができます。

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